特定部品専門の認証工場の申請案内

目 次

1.特定部品専門の整備工場の認証とは

これまで、自動車分解整備事業の認証制度では、分解整備の対象である7つの装置(原動機、動力伝達装置、走行装置、操縦装置、制動装置、緩衝装置、連結装置)全ての整備を行うことを前提として、設備及び人員について必要な要件が定められていましたが、今回、この中の特定の装置を専門に整備する工場を対象とする認証制度が創設され、必要な要件が定められました。この要件は、7つの装置ことにそれぞれ最低限必要な作業場、整備機器が定められており、これら7つの装置のあらゆる組み合わせで認証をうけることが可能です。


2.認証申請に必要な書類の種類

申請書類の様式、添付書類は地方運輸局、運輸支局により異なります。ここでは、関東運輸局東京運輸支局に申請する事例を説明いたします。

申請書類は原則として次の種類のものが必要です。

①自動車分解整備事業認証申請書

必要事項:

○事業の種類

○事業の範囲

○作業場の面積

○工員数

○整備主任者届出

○宣誓書 等

役員名簿(法人)

従業員名簿

自動車分解整備事業申請(届出)書類及び遵守事項

⑤整備士合格書(写)

⑥登記簿謄本(法人)/ 戸籍謄本または住民票(個人)

⑦その他、特に必要と認められる書類


3.認証工場の必須条件

(1)整備主任者の選任

① 認証工場には、事業場ごとに整備主任者を選任(確保)して届出することが必要となります。

② 当該事業場において分解整備に従事する従業員のうち、自動車分解整備事業者が選任することになっております。

③ また他の事業場の整備主任者になることは出来ませんが、一つの事業場について2名以上定めておくことは、差し支えありません。

道路運送車両法施行規則(省令)の抜すい

(自動車分解整備事業者の遵守事項)

第62条の2の2 法第91条の3の国土交通令で定める事項は、次のとおりとする。

(5)事業場ごとに、当該事業場において分解整備に従事する従業員であって一級または二級の自動車整備士の技能検定に合格した者のうち少なくとも一人に分解整備及び法第91条の分解整備記録簿の記載に関する事項を統括管理させること(自ら統括管理する場合を含む。)ただし、当該事項を統括管理する者(以下「整備主任者」という。)は、他の事業場の整備主任者になることができない。

(2)従業員及び整備士

   当該事業場が省令で定められている従業員及び自動車整備士の基準は、下記のとおりです。

                             記

① 事業場には、2人以上の分解整備に従事する従業員を有すること。

② 事業場において分解整備に従事する従業員のうち、少なくとも1人以上の自動車整備士技能検定規則の規定による一級又は二級の自動車整備士の技能検定(当該事業場が原動機を対象とする分解整備を行う場合にあっては、二級シャシ整備士の技能検定を除く。第62条の2の2第1項第5号に同じ。)に合格した者を有すること。

③ 分解整備工(整備要員)と、自動車整備士の保有は、下表のとおりです。

自動車整備工の保有

(3)事業場の設備(作業場等の広さ)

① 事業場は、常時分解整備しようとする自動車を収容することが出来る十分な場所を有し且つ屋内作業場及び車両置場を有していること。

② 屋内作業場のうち、車両整備作業場及び点検作業場の天井の高さは、対象とする自動車について分解整備または点検をするのに十分であること。

③ 屋内作業場の床面は平滑に舗装されていること。

道路運送車両法施行規則(省令)の抜すい

(認証基準)

第57条 法第80条第1項第1号の事業場の設備及び従業員の基準は、次のとおりとする。

 (1)事業場は、常時分解整備をしようとする自動車を収容することができる十分な場所を有し、且つ、別表第四に掲げる規模の屋内作業場及び車両置場を有するものであること。

 (2)屋内作業場のうち、車両整備作業場及び点検作業場の天井の高さは、対象とする自動車について分解整備又は点検を実施するのに十分であること。

 (3)屋内作業場の床面は、平滑に舗装されていること。

  別表第四(第57条関係)

※作業場入口及び天井の高さの目安

昭和42年10月の通達によりますと、対象とする自動車を整備用機器(ジャッキ等)を用いて整備できる高さを有していることが必要です。

別表第五(第57条関係)

○屋内作業場について

※ 屋内作業場の面積(間口若しくは奥行)は、簡易的な下屋は含まれないものとされています。

尚、屋内作業場の床面は平滑に舗装されていることが必要です。

○天井の高さの測定方法について

※ 屋内作業場(車両整備作業場及び点検作業場)の天井の高さは、主たる対象自動車の整備が充分行い得る高さを有することです。

 なお、天井の高さの測定方法は次のとおり、有効の高さを測定します。

〔注〕 建家の改築等にあたっては、事前に相談を受けるようにして下さい。

○有効な面積に関する測定方法の例

〈小型四輪自動車の屋内作業場の場合〉

① 間口若しくは奥行の測定方法について(平面から見た場合)

屋内作業場の間口若しくは奥行の測定方法は、次のとおり作業場としての有効な寸法を測定し、また「間口×奥行」で求められる面積は現車作業が行い得る有効な面積が確保されていなければなりません。

なお、屋内作業場の「間口」を必ずしも「入口」と解釈しないでも差し支えありません。


※ 屋内作業場(車両整備作業場、点検作業場、部品整備作業場)及び車両置場は、同一敷地内であり且つ自動車が道路上(公道)を移動することがない配置でなければなりません。

【例】

【例】


(4)対象自動車別作業機器等能力の目安

(5)建築基準法への適合

〈抜粋〉
1.建築基準法(昭和25年法律第201号に基づき、建築の用途として「自動車の整備」又は「自動車の点検・修理」として建築許可を受け、且つ建築許可にかかわる作業場面積が自動車分解整備事業認証申請の屋内作業場面積と著しい相違のないこと。

〈注釈〉

建築基準法第6条によると「建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前にその計画が当該建築物の敷地、構造及び建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定に適合するものであることについて確認の申請書を提出して建築主事の確認を受けなければならない」と規定されており、第一に建築確認を受けることが義務付けられております。また建築基準法では土地の合理的利用を図るため用途地域の指定という制度が採用されております。この用途地域というのはそれぞれの地域によって、建築できる建物と建築できない建物を定めたり、建ぺい率や容積率について定めたもので特に工場に関する地域制限が厳しく規定されております。従って自動車整備事業場としては、建築の用途として「自動車の整備」とあるいは「自動車の点検・修理場」として建築確認を受けることが必要ですが、建築する場所の選定に当っては、用途地域の制限を充分考慮して行ってください。


4.遵守事項(義務付け)

道路運送車両法<抜すい>

(遵守事項)

第91条の3 自動車分解整備事業者は、第89条から前条までに定められるもののほか、自動車の整備についての技術の向上、適切な点検及び整備の励行の促進その他自動車分解整備事業の業務の適正な運営を確保するために国土交通省令で定める事項を遵守しなければならない。

※表記の(遵守事項)第91条3にあって、第89条から前条までに定めるものの要件は下記のとおりです。

①第89条とは(標識)

②第90条とは(自動車分解整備事業者の義務)

③第91条とは(分解整備記録簿)

④第91条の2とは(設備の維持等)

以上の①~④までを示しております。

※前記<抜すい>の(遵守事項)にあって、国土交通省令で定める事項を遵守しなければならない要件は下表のとおりです。

<道路運送車両法施行規則(省令)について>
(自動車分解整備事業者の遵守事項)

 第六十二条の二の二 法第九十一条の三の国土交通省令で定める事項は、次のとおりとする。

 

一 法第四十八条に規定する点検又は整備の作業を行う事業場にあつては、当該作業に係る料金を当該事業場において依頼者の見やすいように掲示すること。

 

二 法第四十八条に規定する点検又は整備の作業を行う事業場にあっては、当該作業の依頼者に対し、必要となると認められる整備の内容及び当該整備の必要性について説明し、料金の概算見積りを記載した書面を交付すること。

 

三 依頼者に対し、行っていない点検若しくは整備の料金を請求し、又は依頼されない点検若しくは整備を不当に行い、その料金を請求しないこと。

 

四 道路運送車両の保安基準に定める基準に適合しなくなるように自動車の改造を行わないこと。

 

五 事業場ごとに、当該事業場において分解整備に従事する従業員であつて一級又は二級の自動車整備士の技能検定に合格した者のうち少なくとも一人に分解整備及び法第九十一条の分解整備記録簿の記載に関する事項を統括管理させること(自ら統括管理する場合を含む。)。ただし、当該事項を統括管理する者(以下「整備主任者」という。)は、他の事業場の整備主任者になることができない。

六 運輸監理部長又は運輸支局長から整備主任者に対し研修を行う旨の通知を受けたときは、整備主任者に当該研修を受けさせること。

七 エアコンディショナーが搭載されている自動車の点検又は整備の作業を行う事業場にあっては、みだりに当該エアコンディショナーに充てんされているフロン類(特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律(平成十三年法律第六十四号)第二条第一項に規定するフロン類をいう。)を大気中に放出しないこと。

八 他人に対して法若しくは法に基づく命令若しくは処分に違反する行為(以下この号において「違反行為」という。)をすることを要求し、依頼し、若しくは唆し、又は他人が違反行為をすることを助けないこと。

    参考例     標準技術料金表

            概算見積書


5.認証の標識掲出と各種記録簿関係

各種記録簿関係

道路運送車両法<抜すい >

(標識)

第89条 自動車分解整備事業者は、事業場において、公衆の見易いように、国土交通省令で定める様式の標識を掲げなければならない。

<認証標識の様式>

分解記録簿の取扱い

※分解整備記録簿の取扱いについての留意事項は次のとおりです。

①不正使用の禁止等から保管は確実に実施すること。

②購入授受後速やかに一連番号を附しておくこと。

③書き損じた場合は、破棄することなく、使用順に編てつされること。

④他の工場で分解整備を行った自動車について絶対に自社の記録簿を発行しないこと。

道路運送車両法<抜すい>

(自動車分解整備事業者の義務)

 第九十条  自動車分解整備事業者は、分解整備を行う場合においては、当該自動車の分解整備に係る部分が保安基準に適合するようにしなければならない。

(分解整備記録簿)

 第九十一条  自動車分解整備事業者は、分解整備記録簿を備え、分解整備をしたときは、これに次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 登録自動車にあっては自動車登録番号、第六十条第一項後段の車両番号の指定を受けた自動車にあっては車両番号、その他の自動車にあっては車台番号

二 分解整備の概要

三 分解整備を完了した年月日

四 依頼者の氏名又は名称及び住所

五 その他国土交通省令で定める事項

2 自動車分解整備事業者は、当該自動車の使用者に前項各号に掲げる事項を記載した分解整備記録簿の写しを交付しなければならない。

3 分解整備記録簿は、その記載の日から二年間保存しなければならない。

<道路運送車両法施行規則>

(分解整備記録簿の記載事項)

 第六十二条の二  法第九十一条第一項第五号 の国土交通省令で定める事項は、次のとおりとする。

一 分解整備時の総走行距離

二 第六十二条の二の二第一項第五号に規定する整備主任者の氏名

三 自動車分解整備事業者の氏名又は名称及び事業場の所在地並びに認証番号